ナショナルデパート秀島です。

前回はブーストプロジェクトでリリースする予定の新商品のパッケージをシステム化していこう、という話を書きましたが、今回はスイーツを展開するうえで欠かせない商品のフレーバー展開とパッケージデザインについて。少し書こうと思います。

冒頭の画像はCANOBLEがバター専門ブランドとしてリブランドした6年前に発売したブールアロマティゼ（フレーバーバター）Chocolat Beurre ショコラ・ブールのリリース画像です。チョコレート入りのバターなのですが、パッケージは特にチョコレートをイメージした色などを使っていませんね。これは、他のフレーバーと並べたときにバランスよく映るというのを考えてグラフィックを変えているんです。

僕は会社を設立してから今まで、パン、お土産菓子、フレーバーバター、ケーキなど、幅広くスイーツを展開してきましたが、そのすべてが商品のコアを決めてフレーバー展開する手法をとっています。パンなら6種、お土産菓子なら基本が6種に季節商品、フレーバーバターは基本が6種類で季節商品や企画商品が増えていくという感じです。

これはカップ入りのフレーバーバターのパッケージなのですが、基本の6種には鮮やかな配色を使い、季節商品や特別商品は基本商品以外の色を使う感じです。このようにレイアウトを統一してカラーリングやパターンを少しずつ変える程度で、箱詰めの詰め合わせになった時に目で楽しめるようなデザインにしています。

と、ここで過去の基本商品がすべて6種類というのにお気づきかもしれません。これにはちゃんと意味があるんです。

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基本商品のフレーバーは
陰陽五行説の「木火土金水」＋1色

陰陽五行説だの木火土金水（もっかどごんすい）だの言われても、ピンとこない方もいると思いますが、中国の思想で、万物は陰陽と木火土金水の五行で出来てるよね～という考え方です。この五行にはそれぞれ色があって「青（緑）＝木、赤＝火、黄＝土、白＝金、黒＝水」などと言われますが、これ、実は日本の懐石料理にこのすべての色が使われているとも言われているのです。

スイーツをフレーバー展開するとき、カラフルにしなきゃと強迫観念に駆られて、結果的にファンシーな感じになってしまうことが多々ありますが、この陰陽五行をベースにすると安定感のある落ち着いたラインナップを展開することができます。まあ、なにせ、懐石料理と同じ色彩計画なんですから、日本生まれの我々にとって意外と落ち着いた感じに収まります。

これは20年前にやっていた、ひとつが5kgの大きなパン「グランパーニュ」のフレーバー展開と色彩計画ですね。ここでも「木火土金水」を基本にしていて、プラス1色（ブラウン）を付け足して6色にしています。緑・赤・黄・白・黒だけだとアースカラーが含まれていないために落ち着きに欠けるので、ブラウンを付け足してより安定感のある色彩にしています。

グランパーニュの6種の色彩にはそれぞれ対応したフレーバーがあり、抹茶、ストロベリー、マンゴー、メープル、カカオに、アールグレイの全6種。

このように、先に色彩計画を立てて、そこにフレーバーを当てはめるというラインナップの決め方もパッケージデザインとリンクさせるには当然有効ですし、もちろん、先にフレーバーをデザインしてから色彩計画を立てるというのも正攻法の一つと言えます。

僕はぼんやりしているので、色彩計画の縛りの中で考える方がスムーズなのでこのようなやり方でやっていました。

これはグランパーニュ6種詰め合わせの販売時のパッケージですね。

透明なクリア素材の包装なので中身のパンの色彩が活きるように、シンプルにロゴマークのラベル（フランス語ではエチケット）を貼るだけにとどめました。ラベルもシャンパンやワインの雰囲気を出してなんだか只者ではない感を演出しています。グランパーニュ自体、卵や牛乳や砂糖を使わないという古代の製法で作っていたので、ワインとかそういうものから漂う雰囲気を感じてもらえたらなあと思ってデザインしました。

このグランパーニュはおよそ10年間やっていたのですが、後半5年はDEAN&DELUCAへの卸売りや全国の百貨店での店頭量り売りなどをやっていましたね。懐かしい思い出です。

さて、いままですべての食品事業でこのルールに則ってフレーバーデザインや色彩計画をやってきたのですが、今度の新商品では今までのルールはまったく無視したものになります。

前回の記事でも書きましたが、今度の新商品計画ではパッケージデザインのシステム化の中でフレーバーデザインを展開していく予定です。

過去の食品事業のパンやお土産菓子は店頭販売が主流で、小売店での卸売りのために目立つ色彩計画や訴求が求められていましたが、フレーバーバター以降のCANOBLEは主にECでの販売で、色彩での訴求は実はまったく効果がないんですよね。なんですが、いままでのノリのまま包装紙をカラフルにしたりしていました。忘れっぽいし、本当に僕は駄目ですね。

とはいえ、フレーバーデザイン制作中に思い描いた商品イメージをパッケージに反映させるためにはどうすれば良いか、そのへんが今後の課題になりそうです。

これからしっかり勉強して頑張ります。

（2024/10/1 秀島康右）